『ルパン三世 カリオストロの城』シネマ・コンサート! and ベストヒット『ルパン三世』ライブ!(2019.10.26 / パシフィコ横浜)

カリオストロの城でシネマコンサートをする、と聞いた時に、「本当にできるの?」と思ったものだ。

というのも、この映画は、露骨に映像にあわせて音楽が編集されているのがわかる作品だからだ。

最もわかりやすいのは、かの有名なカーチェイスシーンだろう。
ルパンと次元がフィアット500でかっ飛ばし、クラリスと彼女の追手を追いかける箇所では「ルパン三世のテーマ‘80」が気持ち良くかかるわけだが、前方からバスが突如割って入った瞬間、曲がいきなり切り替わる。さらにルパンが車を立て直すと、再度もとのテーマに戻るといった具合に、アクションのテンポにあわせて、音楽も目まぐるしく変化するのだ。

これを実際ちゃんと演奏できるのか、とても気になっていたのだが、これがきっちり再現できていて、聴いていてめちゃめちゃ感動してしまった。

その他もおおむね、オリジナル通りに演奏しきっていて、大変楽しかった。特に、「礼拝堂だ!」の台詞でお馴染みのサンバ・テンペラードを生で聴けたのはとてもよかった。

ただ、やはり演奏する側は大変だったようだ。そもそも、譜面が残っておらず、今回イチから書き起こしたとのこと(2ヶ月以上かかったらしい)。作曲者自らが、自作を耳コピしたそうな。

本作は、サントラがでているのだが、収録されていない曲もあり、しかも本編では台詞に隠れて聞き取りにくい曲もあり、譜面に起こすのは困難を極めたという。
そして、できたらできたで、演奏するのも大変なのは先に述べた通り。

でも、おかげで大迫力の演奏を聴けて本当に良かったと思う。

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幕間休憩にパシフィコ横浜から外を撮影。平和だねー

上映後、休憩を挟んでの第二部は「ベストヒット『ルパン三世』ライブ」と題し、シリーズおなじみの曲の演奏となり、松崎しげる沢城みゆきやが、ルパンや峰不二子のテーマ曲を歌ってくれたりした(沢城みゆきは、第一部でも「炎のたからもの」を歌っていた)。
最後は、「まあ皆さんが聴きたいのはこれでしょ」と言わんばかりに、「サンバ・テンペラード」と「「ルパン三世のテーマ‘80」のフル尺で〆。

さらに、アンコールで、大野雄二によるピアノソロを聴くことができた。

ということで、全体的には、満足度の高い、素晴らしいコンサート&ライブになっていたと思う。

ただ、第二部のようにルパン三世全体をフィーチャーしたライブ、ということになると「カリオストロの城」とやや食い合わせが悪くなってしまうように感じた。

ボーカル版「ルパン三世のテーマ」を歌った松崎しげるは、「ルパン三世の魅力は、ルパンの男らしさにある」みたいなことを述べていたのだが、ヒロインから「おじさま」呼ばわりされる「カリオストロの城」では、ある種のダンディズムから距離を置いているところがある。

また、第二部では演奏にあわせて過去作の映像がスクリーンに映し出されていたのだが、この映像と演奏のリンクがいまいちだった。
そもそも、「カリオストロの城」を上映した後なんだから、照樹務が手掛けた二作品の映像を流してほしかった。
各キャラクターにフィーチャーした映像が流れるセクションがあったのだが、峰不二子については、「死の翼アルバトロス」のアクションシーンを使ってほしかったなあ。
ルパン三世のテーマ‘80」の締めの映像では「ルパン三世 PART5」のOPが使われていたわけだが、ここは「さらば愛しきルパンよ」のラストシーンの方がよかったと思うし。